ここ数日、「脈診(患者の脈に触れて症状などを判断する中国医学の伝統的診断法)だけで妊娠しているかどうかを言い当てる」という前代未聞の賞金つき挑戦がネット上で呼びかけられ、巷では中国医学と西洋医学のどちらが効果的かに関する論争が再加熱した。長年中西医学が共栄してきた日本では、両者がそれぞれの役割を果たし、漢方薬での治療も普遍的に行われている。ここでは中国医学の日本における歴史を振り返ってみたい。
中国医学が日本に伝来
日本では、中国医学の先哲は今日でも崇拝の対象だ。その一例として、中国三皇の一人である「神農」は医薬の始祖として江戸時代から崇められている。毎年11月23日には東京 湯島聖堂の神農廟で「神農祭」という伝統行事が行われ、日本医史学会、日本漢方協会、日本東洋医学会、東亜医学協会、日本内経医学会など関連団体の代表者が出席する。
また、湯島聖堂では公益財団法人斯文会が毎年5月の第三日曜日に「鍼灸祭」を開いており、日本の各鍼灸団体の代表が祭典に出席している。
漢方に信頼を寄せる日本の国民
早稲田大学研究員の大森信徳氏によると、日本人は一般的に「急病は西洋医学で、慢性病は中国医学で」という意識をもっているという。大森氏は漢方で自身の鼻腔炎を治療し、胃腸の働きも改善したという実例を記者に紹介した。
中国通信社営業部長の姜徳春氏は、「漢方は日本の一般市民に広く受け入れられている。これまでも中国に帰国するたびに漢方や中国の化粧品、福建省漳州産の養生片仔癀などを持ち帰るよう頼まれ、非常に喜ばれる」と経験を語る。
現在、胃潰瘍に効果的な柴胡桂枝湯や、インフルエンザに効果的な麻黄湯といった150種類の漢方薬が日本の公共医療保険の適用対象となっており、毎年の販売額は1000億円以上に達し、日本の医師の70%が漢方薬を処方することが可能だ。
争われることのない中西医学
在日中国人の姜鵬氏によると、日本では西洋薬と漢方薬が争うことはなく、必要に応じて薬が選ばれる。「薬店で何を買っていいのか分からないときは、店員が病状を尋ねてくれるが、西洋薬と漢方薬を分けるということは一度もない」と語る。同氏によると、中国医学が一部の人間の攻撃の的にされてしまうのは、長きに渡り「不要なものを取り除き精華を取り入れる」という行為が十分に行われてこなかったため、「家伝」や「秘方」、「未だ世に知られぬ民間の処方」といった迷信を生み出し、社会の中国医学に対する理解を混乱させ、いわゆる「大家」や「神医」に乗じる隙を与えてしまっているためだという。日本では中国医学は外来文化であるため、「家伝」や「秘方」といった類の迷信は存在せず、客観的に中西医学を比較し、適切に取捨選択することができると同氏は指摘する。
(人民網日本語版)