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恐怖の誘導術
    
2017-06-02  kaiwind.com  筆者:风痕    

マインド・コントロールはこうやって起きる

「自分はだまされない」と思っている人が意外と危ないかもしれません

なぜマインド・コントロールされてしまうのか

「人がまったく変わってしまった」「人格が一変してしまった」

世界で「熱狂的な宗教集団」である「カルト」的なマインド・コントロールの事例が繰り返し起こっています。たとえば、親や友人をとても大切にしていた優しい人が突然、親や友人と口を利かなくなったり、罵倒したりするようになってしまう。実際にマインド・コントロールされている状態の人と接したことがなければ理解しにくいことかもしれませんが、現実に起きています。

マインド・コントロールとは「自分以外の人や組織が常識から逸脱した影響力を行使することで、意識しないままに自分の態度や思想、信念などが強く形成・支配され、結果として物理的・精神的・金銭的などの被害を受ける状態」である。

アメリカの社会心理学者チャルディーニ博士はカルト被害の救済の問題にも非常に理解がある世界的な権威者の1人です。

チャルディーニ博士は、セールスマン、募金勧誘者、広告主といった”承諾誘導のプロ”の世界に潜入し観察。彼らのテクニックや「イエス」と応じる人間心理のメカニズムを解明しました。そして、承諾誘導のプロが相手に「イエス」と言わせる手法は何千とあるが、その多くは6つの基本的なカテゴリーに分類できると述べています。

この6つの原理(ルール)は、人間の行動を導く基本的な心理学の原理に基づいており、彼らの手法にパワーを吹き込んでいるというのです。

影響力の武器となる心理的な原理原則

(1) 返報性

「人から何らかの恩恵を受けたら、お返しをしなければならない」という原理。生命保険のセールスマンは、花の種をくれて、ゴミ出しを手伝い、肩までもんでくれた。何かお返しをしなくてはと思ってお茶を出したが、まだ借りがある。彼が勧める保険に入れば、お返しができると考えてしまう。

(2) コミットメントと一貫性

「自分が何かしたら、その後も以前にしたことと一貫し続けたい(一貫していると人から見られたい)」という原理。お孫さんの学資保険に入ったあなたは、次に生命保険に入るときも、同じ会社の同じセールスマンにしようと思う。別の保険会社に変えれば、あなたの前回の判断には問題があったことになってしまう。

「コミットメント」は訳しづらい言葉で、日本語では「(責任を伴う)約束」といった意味だが、一貫性と相まって、人は自分で決めたことや約束したことは、後から変更することが非常に難しくなる。マインド・コントロールは、他者からの働きかけによって、本人に一つひとつの決断を迫っていくものだが、この「コミットメントと一貫性」と相まって、次第に引き返すことが困難となる。

(3) 社会的証明

「人は、他人が何を正しいと考えるかに基づいて、物事が正しいかどうかを判断する」という原理。生命保険のセールスマンは「近所の○○さんも入ってくれました」と言った。○○さんは保険の専門家でもないのに、あなたは「それならば」と思ったはず。

(4) 好意

「人は、自分が好意を抱いている人からの頼みを受け入れやすい」という原理。あなたが大切にしている花を褒めたセールスマンを、あなたは「悪くない人だ。自分と趣味が合う」と思うことになる。肩をもんでくれたときは、好意を感じる。自分が好いている人の頼み事なら聞いて当然だ、と考える。

(5) 権威

「人は権威に弱く、権威者の命令や指示には深く考えずに従いがちである」という原理。セールスマンが勧めるパンフレットには、有名なベテラン俳優の顔写真が掲載されている。その会社はテレビCMの放映もたくさんしており、株価も高い。これらはすべて会社の権威性を高める。権威ある人が、権威ある会社の生命保険を勧めているのだ。安心して加入できる、と考えてしまう。

(6) 希少性

「あるものが手に入りにくくなればなるほど、それを得る機会が貴重と思えてくる」という原理。生命保険のセールスマンは、「キャンペーンがあと5日で終わってしまう」といった。このチャンスを逃す手はないだろう。急いで手続きをしなければ、自分は損をしてしまう。デパートのバーゲンやタイムセールなどで、多くの人が体験する。

これ以外にも、実は有能なセールスマンは、同じ本に出てくる「拒否したら譲歩」テクニック(拒否される前提で大きな要求を出し、拒否されたとき譲歩して小さな要求を出せば、受け入れられやすい)や、「知覚のコントラスト」と呼ばれる原理(高価なものを見せた直後に安価なものを見せると、実際以上により安いと感じる)を使っています。賢明な読者は、もうお気づきですね。

前者は、洋服店に入ると、高価な洋服までは買えないけれど小物をいつも買わされてしまうといった場合に、後者は不動産や自動車のセールスで高いものから客に見せていくと、普通に高いものが安く見えてしまうという手法として、よく使われているテクニックです。

テレビCMでは「今から○分間だけ電話受付」「限定300セット」、インターネット通販サイトでは「在庫一掃大幅値下げ」「あと○個!」「タイムセールは深夜0時まで」「ここだけ・いまだけの訳あり商品」といった惹句(じゃっく)が氾濫しています。いずれも希少性の原理です。「箱つぶれで店頭販売できません。訳あり商品が、あと○個!」なんていわれると、なくても困らない商品を、売り切れないうちに買おうとついつい思いがちですが、世の中そう甘くありません。業者がわざと箱をつぶしたのかもしれません。

マインド・コントロールを仕掛ける霊能師やカルト的な団体が、もっと巧妙に心理誘導テクニックを駆使するのは当然でしょう。あなたに近づく親切そうな人が、カルト的な団体や自己啓発グループの一員とは、最初はまったく気づかないはずです。

彼らが霊感商法で何かを売りつけるときは、インターネット業者と同じように希少性の原理を使います。

たとえば、あまり誘われるので道場と呼ばれる場所に顔を出してみたら、「いま、たまたま有名な××先生がお見えになっている。○分だけなら話を聞いてくれるそうです。今日を逃すと、次はいついらっしゃるかわからない。ご病気のこと、ちょっと相談してみたらいかがですか」と霊能師に引き合わせる。これが希少性の原理です。

「6つの原理」は、いつでも誰にでも効果的なのか?

もっとも、カルト的な集団のマインド・コントロールでよく使われる影響力の武器は、すべての人に100%適用できるとは限りません。10人中7~8人は同じ方法でいけるというように、有効なことは確かですが、違うやり方をしたほうが効果的な人もいます。

最初は相手に耳当たりのよい話題を持ち出すのが基本ですが、人によっては、相手が嫌がる話題や悪い話をガツンとぶつけ、追い詰めてしまったほうがよい場合もあります。最初から頭ごなしに「あんたの生き方は全然ダメだ! いったい何をやっているんだ!」と怒鳴りつけたら、かえって強く信頼される場合もあるというわけです。

つまりマインド・コントロールには、もともと対人カウンセリング的な要素があったり、相手によってやり方が異なったりします。逆にいうと、マインド・コントロールに長けた人物は、この相手にはどのやり方が効くかをいち早く見抜く力があるのです。

ですから、マインド・コントロールで、どの手法が使われるかは、被害者の性格によっても、また被害者の考え方や気分の浮き沈みによっても異なります。相手の状態と使った手法がうまくマッチしたときは、マインド・コントロールがどんどん深まってしまいます。

カルト集団が使う「強迫観念」を植え付ける手法とは?

問題のあるマインド・コントロールを駆使されたときに生じる典型的な感情には、「強迫観念」があります。「強迫観念」はモチベーションに似合っています。

強迫観念は、マインド・コントロールを「行動」につなげるために、なくてはならないものです。たとえば熱心な教育ママの子は「勉強しなければ。いい大学に入らなければ」が強迫観念になります。読者のなかにも「いい大学へ入らなければ、父さんのようになっちゃうよ。ずっと安月給でいいの?」なんて四六時中お子さんに言っているお母さんは、いませんか。

ほどほどにしてほしいと思いますが、人間というものは、ある程度の強迫観念的な考えがなければ、行動を持続させるのが、なかなか難しいことも事実です。勉強でも仕事でもスポーツでもそうです。

試験に落ちたらどうしよう、係長になれなかったらどうしようといった不安な思いは、人を努力させるエンジンのような働きをします。だから、強迫観念的な考えを、一概に不健全と決めつけることはできません。

病的な強迫観念はまた別です。不合理で意味のないような観念に悩まされ、それを振り払うため強迫行為と呼ばれる行動(たとえば繰り返し手を洗う、しきりと机上の物の位置を直すなど)を繰り返し、強迫性障害という精神疾患と診断される場合もあります。

悩み事を深刻にして、不安や恐怖をあおる

カルト的な団体などのマインド・コントロールでは、相手に強迫的な観念を植え付けようとする例が頻繁に見られます。正確にいうと、その人の強迫観念になりそうなものを見つけて、より強い強迫観念になるように仕向けます。それが見つからないときは、外から植え付けるわけです。

たとえば「あなた、何か悩み事はないの?」「特にありませんけど」「いや、それは問題よ。悩みがないということ自体が、人間としておかしいんじゃない?」と、悩み事のない人に、わざわざ悩み事をつくってしまいます。そして、マインド・コントロールの手法を駆使して、その悩み事を大きく強くします。その悩み事を相談し解決するには、私たちのグループに入ればいい、この人に帰依すればいいという方向に持っていくのです。

このプロセスで、悩みの原因は先祖の霊が取りついているからだ、このままでは結婚できない、必ず病気になってしまう、世界が破滅するときに救われないなど、根も葉もないようなことを吹き込んで不安感をあおります。

強迫観念を植え付けて大きくし、不安や恐怖をあおること。これは、問題のあるマインド・コントロールに見られる典型的なパターンなのです。

http://toyokeizai.net/articles/-/166484?display=b

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