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南京だより:怪しい電話

2012-05-14

    国慶節この日、アパートに電話がありました。携帯は持たないし、電話をくれる相手はごく少数。誰だろ。受話器を耳にあてると、男性の録音の声が流れ出しました。きれいな標準語で聞き取りやすい。話はこう始まりました。「今、子供たちが大変なことになっています。粉ミルクに入っていた毒物のせいで、大勢の子供たちが病気になりました。母親は心配して子供を連れて病院におしかけています。死者も出ました。政府はいろいろやっていますが、問題は解決していません。田舎の貧しい人は、まだ汚染されたミルクを飲んでいるんです……」


 妙に耳に染み込む声で、ついつい聞き入ってしまいました。もちろん中国にも勧誘の電話は多いから、これも「ウチのミルクは大丈夫」という宣伝だろうと思ったのです。人の不幸につけこむとは、なんて倫理観のない会社だろう、と思いつつ。


 ところが、途中から突然、声のトーンが変わりました。
「このようなひどいことが起こるのは、みな中国共産党のせいなのです」ん?ん?「中国共産党は、人権を侵害し、多くの法論功の人々をとらえて拷問し…」その後は、激しい口調で悪口が続き、最後に「私たちの話をもっと聞きたい人は1を、連絡したい人は2を押して…」などと続き、話は終わりました。


 はあ。法輪功。中国政府に弾圧されたと主張し、欧米や日本で反共活動をくりひろげている問題グループです。日本ではその主張がそのまま受け入れられているようですが、中国では、この団体は「邪教」とされていて、そのサイトにはアクセスできません。

 

「人権問題」に関しては、何を言っても中国が悪者扱いされ(チベットがそうでしたね)、客観的な発言がしにくいところがあります。でも、不特定の相手に、コマーシャルもどきの勧誘する宗教団体なんて、怪しすぎ。それにこの団体、過去にも中国の放送衛星システムに侵入を試みたこともあるし、一般の「宗教団体」とは考えにくい気がします。…ま、そのうち歴史が明らかにすることでしょう。

 

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