日本では昨日が、菊薫る文化の日でしたね。秋たけなわの頃でしょう。今週の日曜日は、早くも立冬。こちらは、暦通りに季節が動いています。ほんの1ヶ月ほど前に咲き誇っていた菊の花も枯れ始めています。色づいた街路樹も葉を落とし始めました。いつも走りに行く公園では、銀杏が実を着けています。立ち止まって上を見上げたり、しゃがんでいる人が多いなぁと、よく見ると銀杏を拾っています。どの人もスーパーの袋を手にしていて、中にはすでに黄金色の銀杏の実で一杯になっている人もいます。桜なら「花より団子」ですが、銀杏ですから「紅葉より銀杏」と言ったところでしょう。私にとって銀杏と言えば茶碗蒸しですが、中国人の友達に銀杏をどうやって食べるのかきいてみました。そのまま炒ったり、皮をむいて炒め物にするようです。「咳や痰にもいいんだよ」と教えてくれました。さすが医食同源の国です。景色は秋から冬へと動いていますが、私にとって食欲の秋は、まだまだ続きそうです。
作者、秋瑾は清朝末期の女性革命家です。救国を志して来日しました。帰国後、浙江省で武装蜂起を計画しますが、失敗して処刑されてしまいます。役人の父、教養豊かな母に育てられ11歳で詩を書き始め、いつも杜甫などの詩集を手放さなかったと言います。詩人であり、革命家。相反するようでもありますが、この詩をみると
その2つが融合しているように感じます。菊の花の枝ぶりを鉄骨に例えるのは、彼女ならではかもしれません。傲衷は、強い心、雄雄しい心中を言います。彭澤は詩人、陶淵明が県令を務めた地名です。夭桃は咲き誇った桃の花、黄花とは黄色い菊の花のこと。この詩の中には「菊」の文字はでてきませんが、「菊」というタイトルからこの花が菊であることが容易にわかります。春に咲く桃の花と秋の代名詞、菊の花。対照的な2つの花は、菊が作者自身だとすると、桃は何を指しているのでしょうか。
本来は若い女性などを象徴しますが、作者も若い女性であり、革命家であることから、恵まれた階層の女性でしょうか。お酒で有名な浙江省の紹興を訪ねた時、秋瑾の記念館を見学しました。また、今回、この詩を読んでもう一歩、秋瑾という女性に対する理解が深まったような気がします。