中国最新の文学作品を紹介する日本語雑誌、『灯火(ともしび)』が年内にも日本で出版する見込みだということです。編集長の施戦軍氏が21日に北京市内で開かれた出版記念ならびに中日文学翻訳シンポジウムで明らかにしました。
『灯火』は中国で最も権威のある文学雑誌『人民文学』の日本語版として、昨年12月に創刊。「伝統と文化」をテーマにした創刊号に続け、この3月に、自然と人生に焦点を絞った特別版を刊行しました。
『人民文学』ならびに『灯火』?施戦軍編集長
同誌の創刊背景について、施戦軍編集長は「近代では、中日の文学は深いレベルにおいて互いに親しまれ、切り離せない形で自然に交流を展開してきた歩みがある。また、現在進行形の今の文学も、若手作家の作品も含めて、おびただしい数の日本文学が素早く中国で翻訳出版されている」と紹介した上、「平和で、心が相通じる形で語られていく中国の物語は、他の媒介では果たすことのできない役割が期待されている」と文学による交流の意義を強調しました。
『人民文学』は中国作家出版集団傘下の文学雑誌として、1949年10月に創刊。現在の発行部数は10万部。同誌の海外版は英語版を皮切りに、フランス語版、イタリア語版などが刊行されてきました。2015年末に創刊した日本語版は、「日本と中国の文学交流の道を明るく照らす『ともしび』でありたい」という願いが込められての命名。翻訳はすべてベテラン日本人翻訳家の手によるもので、翻訳監修は余華、高行健、鉄凝、蘇童など現代中国作家の翻訳を数多く手がけた飯塚容さんです。
『灯火』は『人民文学』に掲載された作品だけでなく、現代中国文学の最新成果を代表する短編小説や詩を幅広く紹介し、年に1~2回の出版を目指しています。作品選択の段階から日本人の翻訳監修スタッフが関与し、中日双方の共同作業による雑誌作りをしていることを特色としています。
『灯火』は現在、北京にある外文出版社により発行されていますが、現在、日本国内の出版社との提携交渉も進めており、年内にも日本での刊行が実現できる見込みだということです。(取材:王小燕)