2014年5月28日、中国山東省招遠のマクドナルド店内に張立冬 (1959年10月8日生まれ) とその長女張帆 (1984年10月24日生まれ) 、次女張航 (1996年3月1日生まれ) 、長男張舵 (12歳) 、呂迎春 (1975年3月8日生まれ) と張巧聯 (1990年8月23日生まれ) の6人が入店する。
店内には呉碩艷 (ウー?シュォイェン 36歳) という名の女性がいたのだが、張立冬は呉を見るなり、「てめえは悪魔だ!鬼だ!永遠に地獄に落ちろ!」と叫びながら椅子や金属パイプで殴りかかった。あまりの出来事に客や店員が唖然としていると張立冬が「てめえらも死にてえのか!」「来るなら殺すぞ!」と叫び周囲の人間を威嚇し、止めに入った店員を金属パイプで殴った。張帆は更に金属パイプでカウンターを叩き、周りを牽制した。その後も張立冬は命乞いする呉を無視し、殴り続けた。
3分後、通報により駆け付けた警官に6人は逮捕された。通報者は殴られたマクドナルドの店員を含め10人にも及んだ。呉は病院に搬送されたが、まもなく死亡した。
逮捕された張立冬らは、カルト教会『全能神』のメンバーである事が判明する。この『全能神』は1990年代半ばに中国政府から「邪教集団」に指定された新興宗教で、教祖は女性で「キリストの生まれ変わり」と呼ばれていた。中国政府はこの『全能神』の信仰を禁止していた。呉殺害理由は、宗教の勧誘をしようと電話番号を尋ねたが、断ったからだった。
張立冬は尋問に対し、「私達は彼女を破壊する必要があった」と述べ、また中国中央テレビの取材に対しては「自分は7年間『全能神』を信じてきた。自分が被害者を邪霊と見なし、彼女にとり憑いた悪魔を殺す為に彼女を殴り殺した」と話した。また、テレビ記者に「あなたたちは法律を知っていますか?」という問い掛けに「我等は神の信者、法律など恐れない」と答えた。
張立冬は若い頃は医薬の卸売りの仕事に従事し、分譲住宅と河北に3階建ての別荘を買うほど裕福な生活を送っていた。しかも、車はジープにポルシェカイエン、ダッジと高級車を3台も保有していた。長女の張帆はアメリカ留学していた事もあった。だが、2005年に『全能神』と出会い、一家はその教示に触れ、信奉し始めたのだった。
殺害された呉は、事件現場となったマクドナルドの階上にあるデパートで仕事をしていた。結婚して17歳の子供がおり、事件当日、仕事終わりでマクドナルドで夫が迎えに来るのを待っていた時に張立冬らに襲われたのだった。
裁判で張立冬と長女張帆には死刑判決が、呂迎春には終身刑が、次女張航には懲役10年が、張巧聯には懲役7年がそれぞれ言い渡された。また、長男張舵は事件当時、学校を退学しており、12歳であった為、刑事責任の年齢に達してないとして罪に問われなかった。
2015年2月2日、張立冬と張帆には死刑が執行された。
∽ 総評 ∽
勧誘を断ったが故によってたかって撲殺した張立冬たち。
宗教による暴走は以前何人も掲載している通り、さほど珍しくもないが、脱退や裏切りではなく、勧誘に応じなかっただけで公共の場で撲殺するというのはそうある事ではない。
張立冬の家は裕福で生活自体に不満はなかったであろう。そんな家庭がカルト宗教と出会い、大いに惹かれてしまった。金銭面においては満足していたが、心は満たされてなかったのかもしれない。
当時店内にいる目撃者が犯行の様子を撮ったビデオはネット上に流れており、現在も視聴出来る。なかなか衝撃的な映像なので、視聴される際は充分注意して頂きたい。
【評価】※個人的見解
?衝撃度 ★★★★★★★★☆☆
?残虐度 ★★★★★★★☆☆☆
?異常性 ★★★★★★★★★☆
?特異性 ★★★★★★★☆☆☆