2015年に富士河口湖町で80代の祖父母を殺害したとして殺人罪に問われていた少年の裁判員裁判で11月1日、甲府地裁は求刑通り懲役10年以上15年以下の不定期刑とする判決を言い渡しました。少年は幸福の科学信者で、幸福の科学学園高校と教団の宗教教育機関「ハッピー?サイエンス?ユニバーシティ」(HSU)に入る費用を捻出するため遺産目当てで祖父母を殺害したことを公判で認めていました。判決は「強い殺意にもとづき極めて危険な犯行で計画的」「動機は短絡的で身勝手としか言いようがない」としました。
この事件は2015年9月27日に、三代益夫さん(当時83歳)と妻?セツ子さん(同81歳)が富士河口湖町の自宅で刺し殺されているのが発見され、孫で県内の高校3年生
(同18歳)の少年が逮捕されたもの。少年は先月開かれた公判で、動機について、祖父母を殺して遺産が自分の母親に入れば幸福の科学学園高校とHSUに入る費用をまかなえると考えたと語っていました。
公判では、検察側が「犯行は強い殺意のもと計画的に実行された」とし、動機も悪質だとして懲役10~15年の不定期刑を求刑。弁護側は、少年の生育環境や精神?知能面での特性といった事情を考慮して懲役7~12年を主張していました。
これに対して判決は、犯行について「強い殺意にもとづき極めて危険な犯行で計画的だった」などと認定し、動機について「短絡的で身勝手としか言いようがない」としました。また少年の家庭環境が複雑である点や知能や精神面での特性など「不遇な面があることは否定できない」としつつも、知能や特性は正常の範囲内であり「少年による殺人事件の中でも非常に重い部類」と判断。検察の求刑通り、有期懲役刑の上限である懲役10~15年としました。
閉廷後、裁判員たちが甲府地裁内で会見し、「事件の重大性と被告人が少年であるという点で、量刑の判断が難しかった」などと語りました。法廷での少年については、裁判員の一人は「表情はずっと変わらず、質問に対して淡々と述べているという感じだった」と語りました。
なお判決を前に、少年が通っていたと思われる幸福の科学山梨東部支部にコメントをもらいに行ったところ、廃墟と化していました。近所の人の話によれば今年9月頃に閉鎖したとのことです。