20年。その節目に『カルト?霊感商法被害110番』を開設し警戒を呼び掛ける意義について、全国弁連の山口広事務局長は、今も尚カルト被害が続く現状を踏まえ、サリン事件以降の20年を「警察の対応以外には収穫がなかった」「政治を含め社会の対応が遅れている」と語った。 「やや日刊」の報道により、日本全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)が17日、東京霞ヶ関の司法記者クラブで会見を開き、全国弁連の山口広事務局長(東京共同法律事務所)と川井康雄弁護士(田村町総合法律事務所)、久保内浩嗣弁護士(同)は今回の会見に臨んだ。三人はそれぞれカルト被害現状について発言した。
会見する久保内浩嗣弁護士、山口広弁護士、川井康雄弁護士(左から)
オウム真理教による未曾有の宗教テロ?地下鉄サリン事件から
山口弁護士によると、10年前には統一教会の被害相談が200件、それ以外の相談が100件だったのが、昨年はミニ教祖や占い師 などに関する相談が増え、統一教会関連が100件、ミニカルトや開運商法の相談が200件とその数が逆転したという。
更に、このところ各局で相次いで放送されているオウムの特番を観て「どうして高学歴?高偏差値の若者がオウムに入ってしまったのか、誰でも被害に遭う、誰でも巧妙に引っ掛かってしまう」「IS(イスラム国)に入る若者と根っこは通底している」とカルト問題の構造的部分への深い理解を求めた。
その後、川井弁護士と久保内弁護士は、それぞれ開運商法被害と大学でのカルト被害の現状について発言した。
開運商法被害弁護団の事務局長を務める川井弁護士は、開運商法を行なう詐欺グループは「他の霊感商法より詐欺性が明確」「振り込め詐欺グループと同じ」「社名を頻繁に変える」「所在地に実体がない」「対面しない」「口座凍結を警戒して宅配便で送金させる」などとその手口を紹介し現在の状況を「雑誌広告が減り、カモリストのDMからの被害に移行してきている」と注意を呼び掛けた。
大学でのカルト被害に詳しい久保内弁護士は、各大学が採るカルト対策によって「キャンパスでの勧誘は減りつつある」としながらも「SNSを使った勧誘が増えており、大学当局も実態を掴みづらくなっている」と語った。更に中学生や高校性を狙ったカルト勧誘にも言及、カルト団体は「図書館や書店で過去問などを読む有名大学を目指す生徒をターゲットに声掛けしている」と明かした。中高生は総じて「カルトに対する情報もなく信用して取り込まれ大学生になるころには信者として活動ようになる」という。また久保内弁護士はカルト2世や3世の問題にも触れ「2世や3世は本人も気付きようがない」「両親も助けてくれない」と前置きし「カルト110番では、2世3世からの相談もあるかもしれない」と話した。