当事者が初めて明かすサリン事件の真相
「ブラック?ジャック」に憧れて医師を志した男は、死を待つ独房で何を思うのか。オウム真理教13名の確定死刑囚の「Xデー」が迫っている。その中の1人、麻原彰晃の主治医だった中川智正(54)が、化学専門月刊誌に初の手記を寄せた。
麻原彰晃の主治医だった中川智正の手記が掲載された月刊「現代化学」(11月号)
〈当事者が初めて明かすサリン事件の一つの真相〉と題された6ページの手記が載ったのは、月刊「現代化学」誌の11月号である。それは創刊45年の老舗雑誌。手記の中に「真相」に当たるとされる部分は主に2つだ。
1、〈地下鉄サリン事件のサリン原料DFを保管していた者は誰か?〉
答:村井氏の指示で井上氏が持っていたのです
2、〈第7サティアンでサリンができていたのか?〉
答:できていません。第7サティアンと松本?地下鉄サリン事件は無関係です
<人物紹介>
中川智正:オウム犯罪の中で極めて重要な役割を果たした人物だ。坂本弁護士一家殺人、松本サリン、地下鉄サリンの「三大事件」のいずれにも関わり、罪に問われた事件数は11件と麻原に次ぐ。その殺害に関わった「被害者」は25人に及ぶ。
<背景知識>
坂本弁護士一家殺人事件:1989年11月4日未明、オウムの反社会性を追及していた坂本堤弁護士の住むアパートに押し入り、坂本弁護士と妻、息子を殺害した。坂本弁護士は新潟県上越市、妻は富山県魚津市、息子は長野県大町市の山中にそれぞれ埋められた。
出典 オウム真理教とは - ニコニコ大百科
松本サリン事件:長野県松本市で発生したテロ事件。オウム真理教教徒らにより、神経ガスのサリンが散布されたもので、被害者は死者8人、重軽傷者660人に及んだ。戦争状態にない国において、サリンのような化学兵器クラスの毒物が一般市民に対して無差別に使用された世界初の事例である。
出典 松本サリン事件 – Wikipedia
地下鉄サリン事件:1995年3月20日朝、東京の営団地下鉄の丸ノ内線、日比谷線、千代田線の電車内でサリンを散布し乗客や駅員ら12名が死亡、5,510名が重軽傷を負う大惨事が起こった。警察によるオウムの強制捜査を察知した教団が、捜査のかく乱を目的に起こした。
出典 オウム真理教とは - ニコニコ大百科
■科学と宗教は別
米国コロラド州立大学のアンソニー?トゥー名誉教授。台湾出身で日本語も堪能な氏は、毒性学の世界的権威ということもあり、5年前から中川死刑囚と特別に交流を許され、これまでに10回、面会を重ねてきた。
死を待っている中川智正は“自分も井上も死刑になるのだから、今さら争いたくない”と言って、最後は“正しい記録を残しておきたい”と、ひと月くらいでトゥーに原稿を届けた。
〈どうして高学歴の科学者が事件を起こしたのか?〉という問いに、〈科学と宗教はまったくの別物。(麻原は)ヨガや瞑想の指導者としての能力はきわめて高かったのです。教団が殺人を犯すなどと思って入信した者は皆無〉と、ありのままの感想を述べたりしている。
しかし、中川が「麻原氏」と、大量殺人の首謀者に常に「氏」を付けて表記している。未だ「マインドコントロール」の中にあるようだ。麻原はかつての師であり、説教も上手で奥深く、怖い人だった、と畏敬の念を抱いていたかもしれない。
中川にとって事件は未だ終わりをみせていない。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161117-00514306-shincho-soci