あなたは狙われている~カルト宗教の勧誘テクニック その1
今年大学に合格し、新しい生活をスタートさせた皆様、入学おめでとうございます。もうそろそろ大学の雰囲気にも慣れてきたころでしょうか?
今頃の季節になるとキャンパスでは様々なサークルの勧誘が行われていますね。
伝統のある体育会や、落研、漫研、またはバンド系や、演劇、ナンパ系のテニスサークルやら、キャンパスが一年の中で一番華やかな季節だと思います。
しかしながら、あなたに接近してくるサークルの中には危険でお勧めできないグループもいることもお伝えしておきたいと思います。
その実態は宗教団体なのですが、宗教団体が勧誘していることを隠して、「人生について考えるサークルです」とか「テニスやサッカーなどスポーツを楽しむサークルです」などと言ってあなたに接近して勧誘してくるのです。
これはおかしなことだと思いませんか?
「私たちは××協会です」とか「仏教を学び極めることを目標としたサークルです」とか、最初から自分たちの素性を明らかにしてから話しかけるのならともかく、「スポーツを楽しむ」だの「人生を語り合う」だのと、自分たちの正体を隠し嘘をついてあなたに接近してくるのはフェアではありません。
オウム真理教のことをご存じでしょうか?
オウムに入信した若者たちの多くもやはり大学のキャンパスで勧誘された人たちでした。「超能力を身に着ける」とか「ヨガの研究をする」とかいう動機からカルトの深みに嵌められてしまい、心に大きな傷を残してしまいました。
カルト宗教による勧誘は実はひっきりなしに行われてていて、あなたも既に大学のキャンパスで何度も接触しているのです。そこで引っかかって引き込まれてしまうか、うまく勧誘をかわしていけるかは「時の運」だと思ってください。
だって相手は「私は宗教団体のメンバーで宗教団体の勧誘をしています」なんて正直には言いませんから???
この「正体隠しの勧誘」については、次回から少し詳しく情報をお伝えしますが、まず一番大切なことからお伝えしたいと思います。
「カルトは身近にいること。自分もカルトからの勧誘をうける可能性があること」を常に意識することです。
まずはこの意識をもっていただきたい。そうすれは注意力も生まれますし、リスクも低減できると思います。
いつでも どこでも ~カルト宗教の勧誘テクニック その2
さきほど、「正体を隠した勧誘」について書きました。
ここでは、すこし勧誘の具体例をあげていきましょう。
☆キャンパスで
「どの講座を取るのか決めた?僕たち生きがいを研究しているサークルです。かわいい娘もたくさんいて楽しくやってます」
「マジかわいい娘しか入れないサークルです。ちょっとだけ話を聞いていきませんか?」
「正直さぁ、こんな時代じゃん。不安とかない?ウチの部室でお茶しない?」
「ボランティアで駅前や河川敷の清掃をおこなっているサークルです」
「本当の自分を見つけてみませんか?3日間で生まれ変われます」
☆街角で
「私は占いを研究している者ですが、あなたの顔にとても気になる人相が出ています。何かお悩みがあるのではないですか?そこの喫茶店で30分だけ話をしていきまんか?」
☆しばらく音信普通だった同級生や先輩から
「今度の日曜日、会って私の話を聞いてくれませんか?あなたの人生にとって大切な話があるんです」
「今度メシでも食おうよ。凄い話しがあるんだ」
一読してみてどうでしょう?とても宗教団体の勧誘とは思えないものばかりですね。
それからもうひとつ、いわゆる「宗教の勧誘に弱くなる」時期というものがあります。
たとえば誰かを喪失したとき、病気に苦しんでいるとき、家族関係に悩んでいる時などですが、「大学に入学したとき」も「勧誘に弱くなる時期」なのだということを頭の片隅においておきましょう。
「大学入学」という目標が一段落してちょっと拍子抜けして、なんとな空虚な感覚にとらわれることも多くなりますし、また一人暮らしを始めた方は、孤独を感じやすい時期でもあります。
「合格おめでとう。希望の大学に合格して幸せになれたかな?」
「大学に受かるまで随分と苦労したと思う。でも合格したら、また新しい悩みがでてきたのではないかな?」
「結局、人は悩みや苦しみから逃れられない。望みのものを手に入れたとしても、それは束の間のものではないのかな?」
「名誉を手にしたり、財産を設けたりしても、その満足感はいっときだけのもの。結局のところ永遠に崩れない『幸福』なんてないよね」
だから、永遠に続く幸福を得る方法を教えます。と話が続いていくのですが、ここは踏ん張りどきです。
今は「ひとつひとつを慎重に考えるべき時」なのだと思います。
SNSでのカルト宗教勧誘~カルト宗教の勧誘テクニック その3
LINEやフェイスブックにツィッターやミクシィなど、SNS(ソーシャル?ネットワーキング?サービス)が今や花盛りです。皆様の中にも楽しんでおられる方は多いのではないでしょうか?
短時間で多くの人にアクセスすることのできるSNSは面白く、またうまく利用することで新しい友人を作ることも容易です。しかしながら、「顔もしらない相手」との交流にはそれなりのリスクもつきまといますよね。
SNSを利用したナンパやキャッチセールスは昔からありました。
最近ではカルト宗教も勧誘の手段としてSNSを積極的に利用しています。
ある女子学生がSNSで知り合った女性に、「女性だけのパーティーがある」と誘われてでかけていきました。当日パーティ会場にでかけてみると、いきなり複数の女性に取り囲まれてしまいました。
「なんだか怪しい雰囲気だな」と感じてたのですが、仕方なく話題を合わせて話をしていると、「あなたには秘めたる才能がある」とか「特別なものを持っている」などと口々に言い始めました。
怖くなって帰ろうとしたところ、今度は「ここで帰ったらあなたは地獄に堕ちる」とか「私たちの教団を信じるまでは帰さない」なんて脅迫がはじまりました。周囲を取り囲まれてしまい、「帰りたい」と言っても帰してくれません。
脅迫まがいの勧誘をうけていた頭がクラクラしてきました。「なんとかこの場を切り抜けなければ」と焦ってしまったこの女子学生は、差し出された「入信届」に住所と電話番号、メールアドレスと本名を記入してしまったのです。
(被害者が特定されぬよう、複数の事例が合成させています)
オシャレで機能的なSNSのユーザーにカルト宗教の信者がいるなんて信じられないと思います。
そこが盲点なのです。
マインドコントロール~カルト宗教の勧誘テクニック その4
カルト宗教の勧誘テクニックは近年非常に洗練されてきています。
いくつかをご紹介しましょう。
1、「返報性の法則」を利用したテクニック
人から親切にされるとお返しをしない申し訳ない気持ちになりますね。
たとえば、メールをもらったら、返信しなければ悪い気持ちになるし、洋服を買うのに試着をするとなんだか買わないと悪いような気にもなるものです。
好意を裏切るのは辛いことです。これは誰しも同じです。
しかしながら、この心理を勧誘する側は熟知しており、あなたにさかんに恩を売ります。
2、ローボールのテクニック
「3分だけ話を聞いていきませんか?」 「はい」
「ちょっとそこの木陰のベンチで話をしていきませんか?」 「はい」
「ちょっとだけ部室を覗いていきませんか?」 「はい」
といった具合に小さなイエスをもらいながら要求を拡大していくテクニックです。
3、「好意性の法則」を利用したテクニック
二つの方法があります。
「あなたは良い人だ」「あなたは素敵な人だ」「あなたは修行のプロだ」「あなたのように人生をまじめに考えている人はいない」などと勧誘する人を褒めちぎる。
「私にも同じような体験があるよ」などとウソであっても大きく頷きながら話を聞く。
そのうえで電話に手紙、訪問と何度となく繰り返し、パーティや講演会などに一緒に参加しなんとなく一緒にいる時間を増やします。
人は好意を示してくれる相手に対して、好意的な行動を示してしまいます。この心理を利用します。
4、希少性をアピールするテクニック
「今決断しなければ後悔しますよ」
「あなたは選ばれた人です。あなただけに特別に教えてあげます」
「この出会いがあなたにとってしあわせになる最後のチャンスです」
チャンスが限定されていたり、めったにないものだったり、珍しいものだったりすることをアピールします。
5 権威性をアピールするテクニック
「会長は国際的に活躍しているんです。また国連からも評価されています」
「大学教授が(政治家の先生が)顧問を務めています」
権威のある人、権威のあるが関係することをほのめかせば、なんとなく胡散臭そうな団体や行動も信用のおける安全なものと錯覚してしまいます。
余談になりますが、あるひとつの分野については専門性を持っていたとしても、他の分野でも専門性があるか?というとそんなことはありません。
たとえば、世界的な物理学者であっても、メンタルヘルスについても専門家であるとは限りません。」まったく違う分野の学者が推薦文を書いていたりしたら、一応警戒するようにしてください。
これら5つのテクニックはひとつひとつ単独であれば、影響力は小さなものです。しかしながら、これらの勧誘テクニックを複数で、しかも同時に使われるとその影響力は非常に大きくなり、私たちの判断を大きく狂わしてしまうことがあるのです。
私たちの心は自分が思うほど自立しているものではないし、強固なものでもありません。常に他人の言動や行動の影響を受け、絶えず変化を繰り返していくのだということを心にとめておきましょう。
美女とイケメンの勧誘~カルト宗教の勧誘テクニック その5
皆さんはカルト宗教のメンバーはどんな人だと思いますか?
過去のオウム真理教の信徒のように、赤青黄色の目立つ法衣を着て、街角でわけのわからない歌を歌っていたり、集団で白装束を着てお祈りを捧げている様子を連想しますか?
そうであれば、実態は相当違っていると考えてください。
文字通り「正体隠し」の勧誘なのですから、「いかにも宗教団体」のような恰好をしているわけではないじゃありませんか?
むしろ容姿端麗で、とてもオシャレな人があなたに接近してきています。いわゆる美女とイケメンが勧誘の選抜メンバーになることすらあります。
カルト宗教のメンバーは、実は普通のひとたちです。たまたまタイミング悪く、集団に加入しているだけの話です。
余談になりますが、念のために書いておきます。勧誘や献金の強要などの実害が出ているならともかく、カルトメンバーを排除しようとしたり、傷つけたりしていいわけがありません。彼らとの関係で必要なのは「排除」ではなく「対話」です。
とはいえ、「正体隠し」の勧誘はいただけませんね。
「何か話しが違ってきた」「どうも宗教団体じゃないのか」と感じたら、堂々と聞いてみましょう?
「本当は宗教団体じゃないんですか?
「代表者はどなたで、サークルの所在地はどこですか?」
「本来の目的を隠して勧誘するのはおかしいのではないですか?」
そのサークルの人が自分に対して正直で自信があるなら、堂々と答えてくれるはずです。
「オシャレで垢抜けた人だし、宗教団体には見えないし、多分大丈夫」
「いい人だし、根ほり葉ほり聞くのは悪い」
そうでしょうか?本当にその人を信頼しているのなら、疑問な点はしっかりと聞いておきましょう。
その人が本当に信頼に値する人なら、怒ったりしないで誠実に答えてくれるはずです。
あなたはいい人?正直な人? カルト宗教の勧誘テクニック その6
「この集団なんとなくおかしいな」と感じたり、「本当は宗教団体なんじゃないかな?」と感じはじめたあなた
本当は入部を断りたくても「断ると相手に悪い」とか「相手の信頼を裏切るのが辛い」とか感じ始めていませんか?
自分に対して親切だったり、親身になってくれる人に対して疑いを持ったり、せっかくの「誘い」を断ったりするのはなかなか難しいものですし、相手に対して「罪悪感」を感じたりするものです。これは人として自然な感情です。
でも、勧誘する側はあなたの心の中の「親切な人を裏切るのは悪い」という気持ちをとうに察しているのです。あなた一人に対して複数のメンバーで接近し、お互いにあなたの情報を交換し、勧誘するためのシナリオをこっそりと練っていたりすることもあります。
そしてあなたの罪悪感を積極的に利用しようとさえします。だからこそあなたに対して優しく、熱心に、対応しているのです。
残念ながら世の中にはいろいろな人がいます。意図的にあなたを騙そうとしている人はもちろん論外なのですが、問題なのは性格がとてもいいのだけれど、その人が実際に行っていることが反社会的な行動になっているケースです。
時には非情になって、あえて自分の意志を貫くことも人生では必要です。それができてはじめて、「大人になれる」のだと思います。
カルト宗教のメンバーとして活動し、のちに脱会した人たちは勧誘されていた当時にことを振り返ってこう述べています。
「あれほど親身に、大事にされたことは今までなかった」と。
親との離反 カルト宗教の勧誘テクニック その7
なにか困ったときがあったとき、何かに悩んでいるとき相談する人は誰ですか?
サークルに勧誘されて、なんとなく付き合いを続けているものの、「どかこおかしい。宗教じゃないのか?」と感じ始めたあなた。こんなことを言われていませんか?
「このサークルに参加していることは親には内緒にしていてね。もう大学生だし、大人なんだから自分のことは自分で決めなくちゃ。いろいろなことを親に相談するなんて、自立してない証拠だよ。みっともないよね。」
カルト宗教のメンバーは勧誘しようとしている人が外部の情報に触れるのを恐れます。雑誌やネットの情報で、過去に犯してきた反社会的な行為がバレてしまっては、なんとかここまで接触を続けてきた新入生に逃げられてしまうからです。
そのために新入生同士が一緒になって話をすることを妨害するためにそれぞれの関係を分断しようとすることがあります。何よりも親御さんに相談されるのをカルトは恐れます。
「親から自立する」ってことをみなさんはどう考えますか?
「親に黙ってすべてを決断できれば自立している」などと考えているようでは、まだまだ半人前です。この場合は親に対しての「子供としての反発心が裏側にあるからです。
親を「自分と対等な大人」として考えるならば、親を「自分よりも社会経験を積んだ人生の先輩」と考えることもできると思います。
また「人生の先輩」であれば、不安なこと、疑問に思ったことは相談できますね。
あなたはどうしますか?
自分だけの力で解決しようとせずに、第三者に相談することが大切です。
ご自身の大学の学生相談室を利用するとよいでしょう
きっと力になってくれるはずです。
またご両親に相談されてもよいと思います。